インドに立て続けに2回、今年は合計で2ヶ月近くインドにいたことになる。これがネパールやチベットなら大喜びなのだけど。
インドの旅の友は悩み悩んで禅の本を持っていったが、はずれた。インドでは例によってさんざんお寺参りをした。仏教のお寺ではお坊さんの唱えるお経を聞いていたら、居座りたいほど最高の気持ちになったが、ヒンドゥーのお寺ではなぜか最高の気持ちの境地には至れなかった。本も現地で8000円近く(!)買ったのに、どうもピンとくる本がなかった。 それが、突然、はまってしまったのだ。村岡花子さん訳の赤毛のアン。10年以上前に河野万里子さん訳の赤毛のアンにもはまりそうになったのだけど、村岡花子さんはすごい。あの時代にこれだけ現代的でありながらアンの時代を伝えられる訳を生み出したなんて、モンゴメリよりも言葉の魔術師!ほんの一言、二言で引き込まれてしまう。でも、河野万里子さんの訳も忘れられない。赤毛のアンほど訳者の腕が引き立つ物語はないと思う。 #
by gajumalo
| 2008-10-24 20:19
| 和書
長らく沈黙していた。
もちろんそれは怠慢だったから。でも、もう一つの理由は村上春樹病になってしまったから。 村上春樹を読み始めると、どうしてもあまりにも夢中になってしまって現実の物事が 考えられなくなってしまう。いつのまにか自分が村上春樹の小説の登場人物になってしまっていて、現実に目の前で起きていることを見たときに考えたことが自分の意見なのか登場人物の意見なのかわからなくなってしまう。そして、日々の行動までもが何となく登場人物と同じになってきてしまう。 これは『ダンス・ダンス・ダンス』や『海辺のカフカ』を読んだときになってしまった。今回は、『カエルくん、東京を救う』が始まりだった。 スペインでホテルのテレビでEURO2008をテレビ観戦し、その後、venue となったウィーンへ行って、余韻に浸りながらカエルくんのことを考え、サンクトペテルブルグに行って『カエルくん』に出てきた機関車のルーツをさぐるべく突然、『アンナ・カレーニナ』を読んでいる。『アンナ・ケレーニナ』には恐ろしくてこずっている。これは私の読むタイプの本ではない。おかげで春樹病が治りつつある。 今週末にはザンスカールに行くので、そろそろ頭をチベット仏教モードに切り替えていかなければ。 #
by gajumalo
| 2008-08-19 22:32
| その他
超力作!
ここ数ヶ月に読んだ本の中で一番感動した。ヒデのプレーは彼が10代の頃、よく生で見ていた。あれから14,15年。彼はなんと成長したのだろう。そして、彼はなんと大きな視点を持って、世の中を見ているのだろう。これだけ真剣かつ真摯に仕事に向かっている人がどれだけいるだろうか。私は仕事を一生懸命やっているつもりでいたけれど、この本を読んだ今になって思えばなんといい加減な仕事をしてきたことか。 何をするにも全力を傾けている彼の姿勢にとても感銘を受けた。そして、人生と世の中をしっかり見据えているという点にも。 ヒデが平塚の練習場に来たというので、一昨日、行ってみた。ニュージーランドから帰国してすぐに行ったのだけれど、一足遅かった。練習場にはよく見に行っているのに、こんなときに限ってタイミングが悪すぎた。午前中は雨だったので午後に行ったら「あー今日は午前中はいたんだけどねえ」とそこにいたおじさんに言われ、すごすごと普通の練習を見て帰った。残念。 #
by gajumalo
| 2008-05-15 21:03
| 和書
Fire Under The Snow
すごい本を読んだ。あまりにも恐ろしくて昨日は夢にまで出てきてしまった。 中国政府は今でもかくも恐ろしい拷問をしている。そして、拷問で人が思いがけないほどたくさんいる。これはパルデン・ギャツォというお坊さんが政治犯として逮捕され32年間服役し、亡命するまでの自叙伝。チベットの人権問題が取り沙汰されているけれど、この拷問は人権云々いう前の問題かもしれない。 ネパールで買ってあっという間に読んでしまった。あまりにも衝撃だったので、もしも翻訳が出ていなかったら自分で翻訳して出版社に持ち込もうとすら思った。でも、翻訳は98年に出ていて、残念なことにもう絶版になっていた。 それでもつい最近、パルデン・ギャツォのことが映画になったそうで、もうすぐニューヨークで上映されるらしい。 The Child in the Jungle 幼年時代はネパールで、その後はインドネシアの西パプアで成人するまで過ごし、両親の母国であるドイツに渡ってから文明に順応するまでの苦悩を書いたこれも自叙伝。何たること! ネパール、西パプア、ドイツというのは奇しくもこれまで私に一番、文化的にも言語的にも市況を与えた国であり、地域だ。著者に会いたくなってしまった・・。西パプアから帰国したときは本当にかなりの逆カルチャーショックを味わったことを思い出す。先進国では失われてしまった人間の良さがとてもよく描かれている本だと思う。 Love in the Torn Land サダム・フセイン政権下のイラクで痛めつけられたクルド人の女性戦士が亡命するまでのこれも自叙伝。ここのところ自叙伝ばかり読んでいる。恥ずかしながらクルド人の問題はトルコのことかと思っていた。フセインの頃、クルド人は国際社会から無視され続け、化学兵器やガスで何千人もが家や村を追われ、相当数が殺された。当時の彼らのことがよくわかった。 #
by gajumalo
| 2008-05-02 20:56
| 洋書
最初は詩が多くて読みにくいと思っていた。
でも、そのうちに詩に引き込まれそうになっていった。 特に、瀕死の息子と悲しみにくれるマルパの詩のやりとりは圧巻。 今のカルマパも大変、詩がお上手だということだから詩を詠むのはひょっとしてカギュ派の伝統なのかな? マルパはミラレパに隠れがちだけれど、伝記としてはミラレパよりも面白かった。ミラレパの伝記とはスタイルが違うからかもしれない。ミラレパの伝記よりもマルパの伝記の方が淡々としていながらも、マルパの苦悩がありありと現れている。人間としてのマルパの気持ちが伝わってくる。DVDでミラレパの映画を見たけれど、マルパはとても厳格な人として描かれていた。この本でもマルパは厳格だったとされているけれど、行間からマルパもまた実在した生身の人間ということがよくわかった。 それにしてもチベット、これからどうなるのだろう? #
by gajumalo
| 2008-04-07 20:15
| 洋書
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